さ・まつりや主催の幸喜のことは、「音や」で書いています。

箏をはじめてから40年以上たちます。三絃をはじめてからは30年近くです。

その筝曲合奏になくてはならないのが尺八です。

富士喜会の富士喜先生(私の師匠)のご主人ですが、生前は、お勉強会というと

井上江雲先生のご指導のもと、邦楽の音律や、さまざまなことを教わりました。

江雲先生直筆の尺八吹奏心得の中に、書かれた言葉があります

総ての音楽は、音の芸術的表現である

どのくらい芸術性が表現されているかによって

その価値がきまるのである

音の五声

一、 力    芸術の根源、いのち、深さ

二、 幅    大きさ、ひろがり、やわらかさ

三、 鳴り   響、人間の耳に与えるシゲキ

四、 美    明るさ、色、鮮明、澄

五、 シブ味 ワビ、サビ、幽玄、優雅

五声の順番は絶対に変えるべからず

一から順に、

練習と努力によって、蓄積されるものなり

まずは研鑽

そして感性

芸術は個性の表現でありますから

その表現されたものをより以上

立派なものにするためには

日常つねに心をみがき

人格の向上に励むことが大切です

崇高なる精神より表現された芸術に接する時

おのずから頭の下がる思いがするものです。

それは

いのちと、いのち、心と心のふれ合いがあるからなのです。

先日

一音成仏ーという言葉に出会いました

仏教の経典に出てくるような言葉なので

本来の意味があると思いますが、

この言葉を聞いた時に

先生のこの心得が浮かびました

一生懸命、音と向き合い、

一音、一音、

天に向かって昇華されていくような

そんな音を 奏でられたら

と、しみじみ思いました。

自分なりの一音成仏

いのちといのち

心と心のふれあい

楽器を演奏せずとも

もっとも大切なものだと思います。

一生かかるかもしれないけど(いや、それでも足りないかな)

めざすものをみつけられたことは幸せなことです。